親離れができていない人の心の内は、赤ん坊に似ています。
世界が自分を世話してくれないと怒ります。
親は自分を世話してくれて、自分を気分良くしてくれるものと思っています。
親離れができていないと、恋人も結婚相手も人は誰でも、自分にサービスしてくれるように期待します。
自分と他者との関係と言えば、そのひとつの形しか知らないからです。
会社も世の中も、自分にサービスしてくれるように期待します。
自分の子供も、自分を幸せにしてくれるように期待しています。
親が自分を世話してくれて気分良くしてくれないと、不満に思います。
恋人や結婚相手や友達や子供や、会社や世の中が自分を幸せにしてくれないと不満に思います。
何か思い通りに行かないことがあると、不満や怒りを感じます。
自分が気分良くいられるかどうかは、人や会社や世の中にかかっています。
それで、いろいろなことが親や人や世の中のせいだと感じます。
今までずっと世話される方にいたので、そうとしか思えません。
違うポジションがあることは、思いもよりません。
親や人や世の中を大きく強く感じていて、自分を小さく弱く感じています。
だから親や人や世の中に期待せずにいられません。
そんなに大きく強いのに、期待はずれな行動をすることに怒りを感じてしまいます。
要求の多い人は、自分が小さくて弱いということを相手に突きつけています。
でも本人は自分が小さく弱いからではなくて、自分が大きくて強いから不満に思うのだと思っています。
自分が本当は親や世の中を大きく強く感じていることに、気づいていません。
去年から保護犬を飼い始めたので思い出すようになった歌がありまして、今日、それが親離れできない人の典型だなあと思いました。
そういう人の中から、何かとても困ったことが起ると犬を捨てたり虐待したりする人が出てくるのだろうなあと思います。
作者の方には申し訳ないのですが、ちょうど親離れについて書いていたところなので見本にさせていただきます。
小坂明子さんの「あなた」ですが、関係のあるところだけ抜粋します。
もしも私が家を建てたなら小さな家を建てたでしょう
部屋には古い暖炉があるのよ
真っ赤なバラと白いパンジー 子犬の横にはあなたあなた あなたがいてほしい
楽しく笑って暮らすのよ
家の外では坊やが遊び 坊やの横にはあなたあなた あなたがいて欲しい
私の横には あなたあなた あなたがいて欲しい
あなたが、犬が、坊やが、結婚が、家が、自分を幸せにして欲しいという期待の歌ですね。
親離れができると、それは全部自分がひとつひとつ自分の力で作り上げて犬に、あなたに、子供に与えましょうという歌詞になると思います。
愛して欲しい幸せにして欲しいという気持から卒業して、自分から愛する気持になると同時に結婚するのが順調な状態だと思います。
それが親離れのはじまりでもあると思います。
尚、作品としての良し悪しとは関係がありません。
写真は、公園の終わりかけの紅葉です。